『表現について②』

古賀ヤスノリ イラスト こがやすのり

 表現には、他人へ伝わり理解される効果と、自分自身の再認識をうながす効果の二つがあります。頭や心の中でかかえているだけでは、他人にも理解されないし、また自分としても内側からの理解しか持てないことになります。この自他ともに理解されることを必要とする「内的なもの」は、身振りで表現できるものや言葉や絵で表現できるものなど、いろいろな種類があります。
 たとえば、身振りで表現できるものがある。しかし身振りを手話のように言葉として利用すると、それは言葉の表現になり、純粋な身振りの表現とは少し違ってきます。絵でも同じく、絵でしか表現できないものでなければ、絵でしか発散できないものを外へ出すことはできません。写真や言葉の代わりとして、ただ物を示すだけのために描くと、絵の本当の効能は低くなっていきます。 
 表現には表面(どのように表現するか)と実質(なんのために表現するか)の二つのレベルがあり、この二つがねじれずに一致していることが大事です。小説なら小説、絵なら絵でしか表現できないものを表現することで「内的なもの」が初めて表出される。これは結局「自分自身」に対して“偽りのない表現”が「内的なもの」を適切に発散させるということです。日ひごろ興味のある芸術分野において、ねじれのない「純粋表現」を続けることで、自分にとっての「偽りなき表現形式」(自分のスタイル)が出来上がるです。

AUTOPOIESIS 147/ illustration and text by : Yasunori Koga
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