『不安のない世界』

イラスト 古賀ヤスノリ Yasunori Koga

 春になると桜が咲く。それは毎年変わらない確かなことです。しかし開花日は毎年同じというわけではないので、細かく分けていくとあやふやになってきます。どこまでいっても確かなのは数学です。2+3=5が6になることはないので、どんなに複雑な計算になってもその正確な世界は変わりません。もし2+3=6になれば世界は不安に陥り混乱するでしょう。つまり確かなものに従っているうちは混乱は生じない。
 確かなものとは変わらないもの(動かないもの)です。その代表が数学でしょう。機械も正確さが特徴なのであてになる(しかしすべてを数字や機械に頼ると問題がおこる)。あてにならないものの代表は人間の心です。世間の価値は移ろいやすく、個人でも優柔不断な人がいます。分裂していれば都合次第で逆のこと(うらぎり)を平気でする人もいます。よって人間を基準としていては不安定になるともいえます。しかし人間の中でも確かなことがある。それは自分の個性です。
 個性はその人がどのように生まれ育ったかで決まる。そしてその根本的な性質を変えることはできない。ゆえに自分自身を知り受け入れることがあらゆる問題の解決策になる。なぜなら不確かで基準とするにはあいまいな人間の世界において、唯一確かなものだからです。これは絶対的なものを外にもとめる絶対依存症(不安の原因)の処方箋にもなります。自分の個性(根本的性質)という内なる基準を明確にし、それを表現し行動していく。そうすることで不安のない安定した世界が時間をかけて構築されていくのです。

AUTOPOIESIS 247/ illustration and text by : Yasunori Koga
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