「やりたい事をやる」

イラスト こがやすのり Yasunori Koga

 やりたい事をやるのが一番。これは誰にとっても正しい判断でしょう。意味的にもシンプルであり、心理学的、あるいは幸福論的にも正しい命題です。しかしこれだけ明白な指標であるにもかかわらず、実際はそれをやれていない人が少なくありません。それはなぜでしょうか。その原因の一つは「何がやりたいのか分からない」という「自己認知」の問題。もう一つはやりたいことが分かっていても、それを追いかけるときに現れる「心理的な抵抗」の問題があるからです。この二つは互いに影響しあい、やりたい事を妨げる。
 自分がなにをやりたいかを知るには、自分の心に聞いてみればいい。これは理屈ではなく直感判断に近いものです。直感は「論理的思考を閉じたときに立ち上がる」という相関性があり、ゆえに自分がやりたいことを理屈や損得で考えているうちは答えが出ない。もしくは答えが気づかないうちにズレていく。よってまずは自分の「純粋な心」で検索する術を回復させる必要があります。理屈、損得、忖度、といったものからしっかりと守られた環境で自分の直感を広げる。損得と迎合になれすぎた思考を、勇気をもって一度リセットすること。
 クリーンな心による直感判断になれてくると、少しずつ「やりたい事」や「好きなこと」が見えてくるようになります。やりたい事が自分の中に復活してきたら、それを追いかける。そのとき必要な知識や技術などの経験不足がブレーキ(事前抑制)をかけることがあります。しかしそれらは時間(通常の努力)が解決してくれます。それよりも問題は「失敗を恐れる」ことです。これは出来たことよりも出来なかったことを指摘されて育った人に発生しやすい。しかしこれも「やりたい事をやる」こと自体が目的(人生)だという意識をもてば、失敗とて大切な構成要素になる。忖度のない「クリーンな直感」と、成果よりもプロセスを楽しむ「自由な心」を大事にすれば、きっとやりたいことは向こうから近づいてくる。もうそこに自分を抑えつけるものはなにもないのです。

AUTOPOIESIS 276/ illustration and text by : Yasunori Koga
こが やすのり サイト→『Green Identity』

Scroll to top