『ソラリス』

古賀ヤスノリ イラスト
「人は自分の潜在意識に対して責任を持てるのだろうか?」
(スタニスワフ・レム)

 ソラリスという惑星は、二つの太陽を周っている。ゆえに二つの引力の影響を受け、惑星内部の重力は不安定である。しかしソラリスに唯一存在する「海」が重力の安定化をはかっている。「海」は意志をもち、主人公たちの「抑圧されたイメージ」を物質的に具現化させる。心的抑圧による病理と、不安定なソラリスの重力は、共に「海」という安定装置によって補正される。しかし「海」という「超越的な存在」が意図することを、人類がはたして理解できるのか。数少ない登場人物にサイバネティックス学者を選んだところに、すでにこの小説のテーマが現れている。SF文学の頂点に位置する作品。

027『ソラリス』スタニスワフ・レム: Originally published in 1961
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『isonomia』
日々の思考→『AUTOPOIESIS』
映画エッセイ→『Cinepheno』

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