『進化とはなにか』

古賀ヤスノリ イラスト
 
「われわれは進化を現場で押さえることができない」
(今西錦司)

 “生物には自然淘汰では説明できない形態がある”という着想から、個体レベルの進化ではなく、種レベルでの進化の発想に行き着く。ダーウィンが唱えた「ランダムな突然変異」による自然選択説に対し、「方向性をもった突然変異」を対置。これは生物に主体をもたせるいわゆる目的論として、自然科学の世界ではタブーとされてきた視点である。さらに進化する種自体が、それを取り巻く一連の「エコシステム」に組み込まれたものであるというホーリズムを展開する。進化論の源流であるラマルクを蘇らせたような、今だ新しい″開放系”種の社会構造論である。

008『進化とはなにか』今西錦司: Originally published in 1976
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『isonomia』
日々の思考→『AUTOPOIESIS』
映画エッセイ→『Cinepheno』

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