『現代哲学』

古賀ヤスノリ イラスト
 
「持続性を認めるために、我々は実体という概念を考えだす」
(バートランド・ラッセル)

本書は哲学の入門書として書かれたものであるが、量子力学から相対性理論までもカバーした徹底的なものである。その意味では入門書とは言いにくい。しかし「二人の人が厳密に同じ対象を見ることは決してない」という物理空間と知覚空間の非対称性を、科学的な知識を裏付けながら知るには最適の本である。認識と連合法則の関係。因果論の逆行不可能性。科学的でありながらも、科学批判という「哲学の使命」を貫く論考。人びとが知識として疑いない地平。そのパースペクティブを補正する力は、歪んだは資本主義を正す力を持つ。真に実践的な名著。

012『現代哲学』バートランド・ラッセル: Originally published in 1927
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『isonomia』
日々の思考→『AUTOPOIESIS』
映画エッセイ→『Cinepheno』

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