「集団になれば個人の知能は消え失せる」
(ギュスターヴ・ル・ボン)
群衆化した人はどのような心理に変化してしまうのか。いや群衆の中の個人は、心理自体を喪失する。そして感情も同一方向へと固定され、個人の知的判断は消え失せてしまう。そうなった人をル・ボンは原始人あるいは野蛮人と表現する。群衆は過剰に保守的になり、新しい事実を嫌悪する。そして刺激の赴くままに行動する。メディアに扇動されやすい現代人は、いつのまにか原始人に成り下がっているのかもしれない。容赦ないル・ボンの考察が個人主義へ道を切り開く、自由を確保するための一冊。
020『群衆心理』ギュスターヴ・ル・ボン: Originally published in 1895
illustration and text by : Yasunori Koga