「知が導くとき幸福を結果し、無知が導くときは反対の結果になる」
(プラトン)
「徳」とはなにか。それは教えられるものか。訓練によって身につくものか。あるいは、もともと素質として備わっているものなのか。これらの「徳」への問いを、プラトンは対話形式によって深めていく。主人公ソクラテスは、対話者メノンに問いかけ、ときに混乱させることによって、その人がもともと持っている「知」を再発見させる。知らないことを「知っていると思い込む」ことが、“探究”の意思をなくす「知的怠惰」の原因である。それがこの本のもう一つのテーマ。中学生にでも読める内容だからこそ、生徒と教師が一緒に読み、同じ問いを考えることができる。そんな「真の教育」を促す“哲学の教科書”と言える一冊です。
005『メノン』プラトン: Originally published in BC387-
illustration and text by : Yasunori Koga