「わたしは考える、ゆえにわたしは存在する」
(ルネ・デカルト)
いわゆる「われ思う、故にわれあり」で有名な、デカルト41歳にして初の著作。「理性を正しく導き、学問において真理を探究するための」という副題が示す通り、「哲学書」であると同時に「生き方の手引書」ともなっている。六部構成で、特に前半部分は、現代の「自由の増大」に比例した「倫理の喪失」という問題に、一つの道しるべを示すものである。第二章では、明証、分析、総合、枚挙、と言った思考判断の奥義が、第四章ではヨーロッパの心身を分離した「心身二元論」(デカルトは終盤二つの一体化を強調する)が語られる。平易で明解な文章。一日で読み通せる長さ。そして普遍的な内容。あらゆる意味で「最も美しい本」と呼びたくなる一冊です。
004『方法序説』ルネ・デカルト: Originally published in 1637
illustration and text by : Yasunori Koga