-
『ドラゴン・タトゥーの女』
この映画の主人公はジャーナリストである。そして物語も彼を軸として、謎の失踪事件を追うかたちで展開していく。しかしタイトルが示すように、内容がどうであれこの映画は“ ドラゴン・タトゥーの女 ”なのである。その圧倒的な“ …
-
『地下鉄のザジ』
ザジの視点で描かれたパリ。愛すべきキャラクターたちがドタバタを繰り広げ、世にもシュールな世界を演出する。 現実でも非現実でもないこの世界は、現代が失いかけた「遊び」の世界。ザジの毒舌に翻弄されながらも、パリの オトナたち…
-
『ノーカントリー』
枯れた大地の広がるメキシコ国境地帯。そこで展開される時を越えた追跡劇。 公開当時に話題となった情なき殺人鬼は、アメリカ先住民のヘアースタイル。他の主要人物はみなカウボーイハットという出で立ちだ。この縮図は故郷を奪われた…
-
『ストーカー』
「ゾーン」と呼ばれる立ち入り禁止区域。そこには願いが叶うとされる部屋がある。案内人”ストーカー”は、作家と科学者を連れて「ゾーン」へ向かう。しかし、政府の厳重な警備と「ゾーン」そのものの性質により事態は予測不能な方向へ…
-
『軽蔑』
難解と言われるゴダールの映画。しかしこの「軽蔑」は比較的にシンプルでわかりやすい。ある脚本家が映画製作に携わり、 その過程で精神が崩れはじめる。それは私生活へも影響を及ぼしていく。ゴダールの当時の私生活がそのまま演出に…
-
『孤独の報酬』
「ifもしも」で知られるリンゼイ・アンダーソン監督の長編映画一作目。身の丈に合わない女性を我が物にすべく、炭坑夫からラグビー選手へと転身する男。しかし階級という見えない構造はそれをゆるさない。 この映画は丁寧な心理描写と…
-
『ある殺人に関する短いフィルム』
ある殺人者とある弁護士の物語。人はなぜ殺人を犯してしまうのか。そして殺人者を裁くことができるのか。映画の冒頭で弁護士はこう独白する「刑罰は復讐である」。 特殊なフィルターで撮影された、暗く視界の狭い映像。殺人者の心理と弁…
-
『ロボコップ』
この映画はSFというジャンルに分類されている。もちろんロボットが出てくるので見た目はSF映画である。 しかし内容はというと、まさに社会派そのもの。当時のアメリカ社会が”内側”からリアルに描かれている。なぜなら 監督のポ…
-
『裸のランチ』
ウイリアム・バロウズの同名小説の映画化である。小説のほうは、文章を無作為に切り取りとって繋ぎ合わせるカットアップという手法がとられている。 つまり意味不明な体裁をしているのだ。それを映像化しようという発想が凄い。監督の…
-
『狼たちの午後』
銀行強盗に走る主人公。労働者階級の苦悩が引き金となって起きた事件は、少しずつ人々の共感を生んでいく。それは人質になった銀行員とて例外ではなかった。 格差が引き金となった事件があとを絶たない現代。この映画のメッセージは今…