『無秩序から秩序へ』

イラスト こがやすのり

 宇宙はビックバンより始まった、ということになっています。これは一般的にもよく知らた物理学の話です。この爆発は連続して何度も起こり、ついでインフレーションが起こる。その後は最初の元素である水素やヘリウムが10万年かけて作り出される。次いで100億年後には惑星ができ、そのあと50億年すると生命が誕生する。つまりビックバンというカオスから宇宙が始まり、段々と秩序が形成され地球や生命も誕生した。
 宇宙も地球も生命もみな無秩序から生まれた。そして無秩序から秩序を作り出すプロセスが生命現象だということです。つまり最初から秩序や型があるわけではなく、無秩序から苦労して作り出された。生命とはその意味で「無秩序から秩序を作り出す力」を持つものと定義できます。
 この生命の定義を創作活動に当てはめてみると、無秩序から秩序をつくり出せる作り手を「生きた作り手」と言うことができます。たとえば無意識から新しアイデアを意識化したり、抽象状態から新しいイメージを直感したりする能力が、少なからずあるということです。これは形式や型を出発点にしなければ作り出せないこととは根本的に違います。この「生きた制作」を別の言葉に還元すると「創造」ということになります。カオスに翻弄されることなく「無秩序から秩序を作り出す力」こそが、物理的、あるいは精神的(芸術的)な生命活動にかかせない能力なのです。

AUTOPOIESIS 200/ illustration and text by : Yasunori Koga
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