この映画の主人公はジャーナリストである。そして物語も彼を軸として、謎の失踪事件を追うかたちで展開していく。しかしタイトルが示すように、内容がどうであれこの映画は“ ドラゴン・タトゥーの女 ”なのである。その圧倒的な“ 個性 ”は、あらゆるタブーを超えて純粋の極みに達している。血塗られた一族の話、強烈な暴力描写、巧みなストーリー展開。これらのインパクトを すべて忘れさせる女。ヘビーなサスペンスではあるが、ダークなラブストーリーとして観ることもできる「ドラゴン・タトゥーの女」である。
vol. 017 「ドラゴン・タトゥーの女」 2011年 アメリカ 158分 監督:デヴィッド・フィンチャー
illustration and text by : Yasunori Koga