ティム・バートン作中で最も美しい映画。このような、アンドリュー・ワイエスの水彩画のごとき世界観は二度と作れまい。「首なしの騎士」という迷信めいた主題を、主人公が“科学の目” で追っていくあたりの面白さ。リアリズムで迫りつつも、泥沼のファンタジーと化していく展開の意外さ。そして、イマニエル・ ルベッキという名カメラマンが作り出す映像の美しさ。これらの科学反応が不思議な魅力をつくり出している。迷信に支配された村人に理性(頭)がないという意味では、 首が切り落とされるというのは象徴的である。
vol. 018 「スリーピー・ホロウ」 1999年 アメリカ 105分 監督:ディム・バートン
illustration and text by : Yasunori Koga