フランク・ハーバートの傑作小説の映画化。一般にリンチの大失敗作といわれている映画だが、はたしてそうであろうか。もちろん最終編集権のなかったリンチにとっては悔しい出来だとおもう。しかしフィルムをどう切り取り、どう並べたところで、リンチ質がにじみ出ていて仕方がない。特にアール・デコとH.R.ギーガーをミックスしたような美術が素晴らしい。その悪趣味感はしっかりと『未来世紀ブラジル』や『ロストチルドレン』へと受け継がれていく。製作費は120億円。「デヴッド・リンチに巨額を与えるとどうなってしまうのか」という実験結果がこれである。
vol. 019 「デューン/砂の惑星」 1984年 アメリカ 137分 監督:デヴィッド・リンチ
illustration and text by : Yasunori Koga