人は表現する。たとえば身振りで、あるいは言葉で。自分の感じていることや考えていることを、心や頭の中だけにとどめず、外へ出していく。中にあるだけの状態と、外へ表現することの間には大きな違いがあります。一つは他人にも理解されるということ。そしてもう一つは、あらためて自分自身のことが表現によって理解されるということです。
身振りや言葉の表現から、より複雑な芸術表現にいたるまで、表現の効果の根本は、他人に理解され、自分にも再認識がなされるということです。そして、身振りは身振り、言葉なら言葉、あるいは絵なら絵でしか表現できない領域がある。つまり、その表現でしか伝えられないし、また再認識もできないものがあるということです。
人は言いたいことを我慢しているとストレスがたまります。実は言葉以外の領域でも、それを表現しないとストレスになるものがある。身振りで発散できるものもあれば、絵で発散できるものもあります。そして絵が好きだとか、ダンスが好きだとか、詩が好きだとかいった感情は、内面にある「発散したいもの」と密接な関係がある。そしてそう感じること自体が、その領域の表現が必要な証拠であり、また個人の適正(才能)を示しているのです。
AUTOPOIESIS 146/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリ サイト→『Green Identity』