想像力には二つあります。一つは「良い想像力」。そしてもう一つは「悪い想像力」です。例えば、最悪の結果ばかり想像して、事前に恐れを抱くのは「悪い想像力」です。それに対して、事実に基づいてより良い状態を想像する。これは「良い想像力」です。想像力は保守的になると積極性を失い「悪い想像力」が優勢になります。これは想像を思い浮かぶままに任せているからです。「良い想像力」は受け身てはなく、積極的な意志でイメージを形造るものです。
例えば文字を読んでイメージを思い浮かべる。これは文字が想像するものを示しているのでイメージが容易です。しかし言葉以前の雰囲気や心で感じたものをイメージするには、より積極的な意志が必要です。その意志がないと、情動に流されるまま受け身になってしまう。よって受け身ではなく積極的な意志で想像する力が、不安定な想像を抑止する「良い想像力」だといえます。
フランスの哲学者アランは「最大の苦痛とはものごとを正しく考えることができないことだ」といいました。つまりありもしない悪い想像力で何かを恐れたり正しさを見失ったりすることが、最大の苦痛の原因だということです。そう言った状態を回避するためには「良い想像力」が必要です。それは積極的な意志でイメージを形にする力。言葉を前向きに使うことで人類が発展してきたように、「良い想像力」を使うことで不安な想像は抑えられ、新しい展望が開けるのです。
AUTOPOIESIS 151/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリ サイト→『Green Identity』