
暗黙の忖度や意識中心の考え方を退けることで、本当の自分(分裂の一切ない静寂な地点)が見えてくる。さらに本当の自分に化学反応をおこしてくれる素材との対話により創造性が生まれる。創造性へのアクセスによって現実は相対化され、ストレスからも開放される。もし本当の自分を発見しても、なにもしなければ新しい領域にアクセスすることはできません。
そこで自分に意味のある素材やテーマを選び、それを試行錯誤しながら表現してく必要があります。問題は自分にとって「意味のある素材」です。本当の自分に関わるものを発見するには、忖度を排し無意識にあるものに従う必要があります。ここが難しい所です。普段なにかを選ぶ時は、意識的によく考え答えを出します。それが賢いやり方だと。しかし本当の自分は無意識に押し込まれており、無意識とは絶対に意識できない領域です。ゆえに数量化できる意識的データで判断すると本当の自分から離れていく。考えるから分からなくなる。この原理を前提として、まずは意識的なものの考え方を緩める必要があります。
意識をゆるめた選別。それは明確さよりも、直感的に「何となく」引っかかるもの、理由はわからないが気になるもの、といった「理屈が辿れないがひっかかるもの」が無意識にあるものと関係している。意識的な分析はそれらを集めた後に行うというプロセスが重要です。そしてなぜ気になるのかを絵や音楽といった芸術表現やその他の活動によって追求していく。無意識のなかに沈んだ答えは簡単には出てきません。しかし「素材との対話」により必ず新しいもの(新しい自分)が生まれてくる。このプロセスこそが創造です。
次回は本当の自分によって創造されたものが、自分自身に与える決定的な影響について考察してきます。
AUTOPOIESIS 272/ illustration and text by : Yasunori Koga
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