何かを創造する。クリエイティブによって新しいものを生み出す。それは既にあるもののコピーや模造品ではなく、これまでに存在していなかったものを作り出すということです。この意味で創造の結果として何らかの「もの」(物質)が生まれる。しかし創造の利点は物質的なものだけにとどまりません。
創造するには、自分自身の主体的な能力を発揮する必要があります。この自らの力を行使する能力を社会心理学者のエーリッヒ・フロムは「ポテンシー」と表現し、精神的な病はポテンシーのレベルが低く「生産的に生きる」ことができない状態だとしています。
フロムが言う「生産的に生きる」とは、ポテンシーに支えられた「創造による生産的な生き方」のことです。このポテンシーと創造する能力が落ちると心は不安定になり、思考や行動が乱れてくる。彼の「創造できない人は破壊をこのむ」という表現はそれを示しています。この破壊的な方向を解決する唯一の方法が、「創造可能性とポテンシーを生産的に利用する能力」を高めることだとフロムは断言しています。創造する力を高め行使することは、物質生産よりも人々の心にこそ、最も必要な効果をもたらしてくれるのです。
AUTOPOIESIS 213/ illustration and text by : Yasunori Koga
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