『ミカエル的視点』

ミカエルの視点

 作家スティーグ・ラーソンは『ミレニアム・ドラゴンタトゥーの女』で、主人公にこう述べさせています。「スウェーデン経済とスウェーデン株式市場とを混同してはいけません」(ミカエル)。彼がいうには経済とは実体を伴った現象であり、株式市場は実態なき幻想であると。これを読んでなるほどと思いました。こんなことを書けば、株と経済が‟直接相関している”と考える人たちから怒られそうではありますが。しかし、資本主義が揚棄された未来では、株式市場と経済の相関性の認識が「資本主義の限界」だったと教科書に記されるかもしれません。
 

AUTOPOIESIS 0002./ illustration and text by :Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

『世間という幻影』

古賀ヤスノリ イラスト

 「世間」というものがあるらしいのです。「らしい」と書いたのは実態がどこにも見当たらないからです。実体はないが人々は影響を受けてしまう。それはミステリー小説のように、結果を残すも犯人分からずといった具合です。人々が集まると必ずどこからともなく現れ、場を支配する。これを吉本隆明さんなら共同幻想と呼ぶでしょうし、フロイトなら超自我と呼ぶかもしれません。とにかく実体のない曖昧模糊とした「世間」が場を支配している。もしミステリーなら、場を支配し、目をくらますトリックが必ずあります。見えない抑圧という幻影を消し去る方法。それは幻想が発生するトリックを見破ることにある。隠された次元を暴きだすには、やはり個人個人がポワロやホームズになるしかないのかもしれません。
 
AUTOPOIESIS 0001./ illustration and text by :Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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