深海に住む特殊な魚たちがいます。ひっそりと敵も少なく環境の変化もおそってこない。ただ生きるという状態を保つだけなら絶好の場所です。言い換えると自己防衛的に生きるならこんな良い場はありません。しかしそれなりにデメリットもあります。水深300メートル以下であり地上の光も届かず真っ暗闇です。この特殊な環境ゆえに敵も少なく外的環境の変化もありません。
外的な変化や敵が少ないということは、それだけ対処せずにすむということです。つまり進化する必要がない。よって彼らは太古のままの型を保っているものも少なくありません。奇怪に思える形態は進化と洗練を回避した長年の結果としてあらわれたものだといえます。このように全ての外的変化に対して自己防衛的な戦略をとると、結果的に奇怪で複雑な形をとどめることになります。
これは魚や形態だけの話しではありません。外的変化に対してかたくなに自己を防衛し、重い腰を上げ進化する手間から逃げていると、精神は洗練されていかず、歪で複雑な考え方(不安の原因)を保持することになります。そして進化することからの逃避(自己逃避)を是とする「怠惰な集合体」を形成してそこを深海とします。それと同時に地上の光(進化のある価値観や方向)を怖がるようになる。環境に対して誠実さをもって自己変化できるものだけが、進化と洗練のフェーズにすすむことができるのです。
AUTOPOIESIS 243/ illustration and text by : Yasunori Koga
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