バランスとは釣り合いや均衡がとれているということ。つまり一つの塊ではなく分散した形で全体として安定するということです。たとえは「車の両輪」などと表現することがあります。これは二つあるうちのどちらが欠けていても動かないことを意味します。あるいは「栄養のバランス」といえば多数の要素に釣り合いがとれており、その均衡に偏りが出てくると病気になってしまう。つまり構造を分散させて安定をはかるときにバランスか必要不可欠なものになってきます。
そもそもなぜ単一ではなく構造を分散させる必要があるのでしようか。構造が単一であればバランスを取る必要などありません。例えば岩のような一つの塊なら、動かないのでバランスをとる必要はありません。バランスが必要なのは動くものであり、そのままでは動かなくしてしまうものです。車もシステムも身体もこころも、全てバランスをとることで初めて健全に動き続けることができます。
バランスに必要な分散構造は「相反するもの」の相補的な釣り合いによって維持されます。燃焼と冷却、稼働と停止、主観と客観などの両極のバランスが基本です。その二つバランスによってシステムが健全に維持される。絵の描き方でいえば「自由な表現」と「構造的な表現」(決められた表現)の両輪のバランスをることで偏りが回避されます。こころであれば、「内的自己」と「外的自己」のバランスを保つことで病理が回避される。「相反するもの」を排除せす許容することで、バランスという分散構造がうまれ、単一では決して得られることのない「変化に満ちた世界」(有機的な世界)の調和が獲得されるのです。
AUTOPOIESIS 242/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリ サイト→『Green Identity』