ハリウッドスターとしての全盛期を過ぎた主人公。彼は再び脚光をあびるべく、ブロードウェイに進出する。過去の栄光を忘れられない人格として、「バードマン」という妄想人格が度々現れ、ハリウッドへ戻れとささやく。不慣れな舞台、薬物依存からの更生中である娘、利己的な天才俳優など、彼を悩ませる要素との葛藤を背負いながらも、権威ある批評家の眼に舞台をさらす。「無知の奇跡」が「芸術的創造」のプロセスそのものであることを、超絶的な長回しと“怪演”で証明してみせるたシネマの限界点。
vol. 046 「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」 2014年 アメリカ 119分 監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
illustration and text by : Yasunori Koga