『防衛機制‐反転』

 
 たとえばオセロを勝負しているとします。やっていくうちに自分が劣勢になり、負けそうだと感じる。通常は負けるとそれを受け入れておわります。しかし、もし負けを受け入れたくないがために、頭のなかでオセロの盤を180℃回転させたらどうでしょうか。そうして自分が勝ちの側にいると妄想し、負けの側が相手だと考えたら。もちろんその妄想の中では、彼は負けの側を逃れて勝の側で気分がよいでしょう。しかし通常はたとえ妄想しえたとしても、そのような気分にはなれなません。なぜなら事実としての記憶が邪魔するからです。しかしその人物が「妄想的な反転」とそれに伴う「過去の記憶の消去」を幼少期に習慣づけていたとすればどうでしょうか。そんな人物がいれば大人になってもピンチの時は状況を反転させて身を守るという「心的トリック」で問題を回避するでしょう。これはありえないような話ですが、実際はかなりある話ではないかと思うのです。

 

AUTOPOIESIS 0003./ illustration and text by :Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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