『カバ』

 カバは水よりも比重が大きい。だから水中を歩くことが出来る。しかもカバは、肺に空気を貯めて浮かびながら自由に泳ぐこともできる。人間なら浮力が邪魔をしてそうはいかない。カバは水中で自由に生きる反面、陸上では長く歩くことが苦手らしい。
 水よりも重いカバには自由が許されている。水より軽い人間には自由が許されていない。ここでいう水よりも重いとは「質量」が重いということ。物理学でいう「質量」とは「重さの度合い」であり「動かし難さ」の度合いでもある。つまり水中における「動かし難さ」が自由の条件となっている。

『カバ』

 人間の世界も周囲に流されない「動かし難さ」が自由の条件だといえる。「世間の質量」より「個人の質量」が高ければ、動きだけではなく考え方も自由になる。では、世間や個人の「質量」とはいったい何なのか。それさえ発見できれば、私たちはカバのように自由に歩くことが出来るのです。

AUTOPOIESIS 0052/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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