大工さんが建物を建てる。二階部分は届かないので、周りに足場を組む。その足場で二階部分の作業をします。もし、大工さんが足場を組んだ人の技術を信頼していなかったら、作業をしても落ち着きません。仕事が手につかないということになります。イライラしてストレスがたまってしまう。
人は自分が信用できる足場でしか、落ち着いて作業ができません。信頼できる地盤でしか通常の能力が発揮できない。信頼とは何か。それは自分を預けても大丈夫だという感情のようなものでしょう。あるいは、存在の基盤を支える実存的な確証。世界に対する信頼がないと、そこで生活する人々は不安定になります。
では自分の足場となる世界を信じるにはどうすればよいのでしょうか。人は「壊れたつり橋」を渡る時、足で強度を確認しながら進みます。「ここは大丈夫だ」といった感じで。少しずつ信頼できる足場が広がる。広がった足場から新しい風景が見える。信頼とは「表面的なこと」ではなく「本質的なこと」(事実)です。本質に目を向けて、信頼できる足場を広げることで自分の実力が自然に顔を出す。自分の思いがスムーズに表現できる状態がここにあります。
AUTOPOIESIS 0055/ illustration and text by : Yasunori Koga
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