『個性とは何か』⑤

古賀ヤスノリ イラスト こがやすのり

 個性とは比較できないものである。それは部分へと分解する還元主義の対局にあるもの。そのようなあり方を全体論(ホーリズム)と言います。部分を総合して出来るものではなく、それそのものが全体であるようなものです。
 同じ全体でも全体主義は個性が消滅してしまい、集団が一つの全体となってしまいます。一方ホーリズムは部分であることを否定します。その状態でないと個性は存在できないのです。部分へと分解できないということは、つまり「それ以上小さくできない」(最小単位)ということです。
 個性とは「それ以上小さくできないもの」です。古代ギリシャの哲学者、デモクリトスは「これ以上分割でいないもの」をアトモスと名づけました。これは現代でいう原子(アトム)の元型です。この分割できない万物の基礎となるアトムのようなものが個性だと考えられます。
 現代物理学では、原子より小さなものが想定されています。しかし分割できない、永遠普遍のものとして「アトム」という概念は、いまでも生き続けています。個性はこの「アトム」が象徴するような、永遠で普遍なものです。
 個性とは何ものとも比較できない、永遠普遍のものである。それは本質的であり、破壊不能なものです。分解したり破壊したりできないもの。つまり物質的なものではないということです。個性とは物質とは別のことろに存在する「無形」にして永遠普遍なものなのです。

AUTOPOIESIS 0097/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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