劇作家である主人公が勝負をかけた舞台。その初日に”皆殺しの天使”と呼ばれる批評家がやってくる。 しかもその日は、崇拝するレッドソックスのワールドチャンピオンがかかった日。彼は舞台の初日から逃避するように、バーの野球中継に一喜一憂するのだが・・。
主人公にとっての濃密な一日が、ゆったりとした流れで描かれる。個性的な面々のクセのある演技。暗喩にみちた演出。そしてユーモアのセンス。そのどれもが素晴らしい。脚本はノーベル文学賞候補常連のドン・デリーロ。音楽はヨ・ラ・テンゴ。主演はマイケル・ キートンということで愛すべき一本に仕上がっている。ここにはウェイン・ワンの『スモーク』やロン・ハワードの『ザ・ペーパー』と同質の世界がある。
vol. 021 「ライフ イズ ベースボール」 2005年 アメリカ 83分 監督マイケル・ホフマン
illustration and text by : Yasunori Koga