『エレメント・オブ・クライム』

古賀ヤスノリ イラスト

 犯罪捜査のため、カイロからヨーロッパへと赴いたフィッシャー。彼は、警察学校の恩師オズボーンが記した「犯罪の原理」の方法をもとに捜査を始める。その捜査方法とは、犯罪者の心理状態に同化するという危険な手法であった。
全編セピア調の画面。ビザ―ルでマニアックな演出。人間の暗部を吐露したテーマ。一般的な映画とは一線を画すこれらの手法は、先にも後にもこの映画でしか見られない(表面的な模倣者はいたが)。監督は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー。彼が28歳の若さで撮ったのがこの映画だ。知性と狂気が高密度に結晶化した恐るべき傑作。

vol. 023 「エレメント・オブ・クライム」 1984年 デンマーク 100分 監督 ラース・フォン・トリアー
illustration and text by : Yasunori Koga

★古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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