フロイトをはじめ精神分析や心理学の本を開けば「自我」という言葉が頻繁にでてきます。この「自我」という言葉はいまでは一般化していますが、自分自身で「これが自分だ」と思っているものを指しています。この「自我」は最初は親との関係で作られる。つまり、もともとあるものではなく、他人との関係によって作られるということです。
他人との関係で作られた「自我」は、物事を選択し行動するときの判断の中心です。よって「自我」のあり方が、その人の行動規範であり、行動の限界値でもあります。しかし、人はその自我を越えて成長しようとする時があります。真に大人になるときや、より高い目標を目指す時などです。
これまでの「自我」を越えて成長しようとすると、それまでの仲間や家族から疎外されることがよくあります。他人との関係で出来た「自我」を越えていくわけですから、これは自然な流れとも言えます。そこで周囲の疎外におじけづけば、成長も進化も、また夢や目標も放棄してしまい、無気力の原因にもなります。このような反発や疎外に対してひるまずに、勇気と覚悟を持つことができれば、揺るぎない自我と新しい発展への道が開けるのです。
AUTOPOIESIS 141/ illustration and text by : Yasunori Koga
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