『失敗から学ぶ』

古賀ヤスノリ イラスト こがやすのり

 有名な『ジュラシックパーク』という恐竜を遺伝子操作で蘇らせてテーマパークを作る映画があります。そこでは今まで仮説だった恐竜の生態が、実際の行動から明らかになる。映画の中で、電流が流れる柵に恐竜が触れると、その後おなじ過ちを二度と起こさないという話が出てきます。つまり経験を学習する高度な知能があるということです。もちろんこれは話しを面白くするための大胆な仮説の導入かもしれません。とにかく高い知能を持つ動物であるかどうかは、経験に対する学習能力にかかっていることは確かです。
 よく「あの人は経験が豊富だ」という言い方をします。これは沢山の経験があるだけでなく、その経験を活かすことができる人を指しています。この経験の中には、成功だけでなく失敗も含まれている。むしろ失敗から学ぶことで人は成長します。もし自分の失敗を受け入れないならば、その失敗から学ぶことも、その経験を活かすこともできなくなる。失敗から学べないとなると、ジュラシックパークの恐竜以下の知能ということになってしまいます。
 「受け入れ難い失敗」とは、結果が耐え難く、それを受け入れると「自我の崩壊」を招く恐れがある失敗のことです。辛すぎて自分のこととして背負えない。するとその失敗は自分の経験とはならず、経験から学べなくなります。そしてまた繰り返す可能性がある。なので抵抗のあるものは、小さく崩して受け入れていく。少しずつでも最後には全てを受け入れることになります。人間には恐竜にはない自我という特別な機能があるので、自我の許容量に合った「失敗の受け入れ方」が必要なのです。

AUTOPOIESIS 144/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリ サイト→『Green Identity』

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