物事は放っておくと必ず無秩序へと向かう。たとえば整理を怠ると部屋は足の踏み場もなくなります。また美しい庭園も手入れを怠るとすぐに荒廃する。こういった散らかり具合の指数を物理学ではエントロピーと呼びます。つまり物事は放っておくと必ずエントロピーが上がっていく。よってエネルギーはエントロピーを低く保つために使用さる。これが生命活動の基本です。
エントロピーは熱力学第二法則という物理学の概念ですが、精神にもこの法則が当てはまります。ただ生活するだけで精神を放っておくと、足の踏み場もないほどに散らかっていく。そして最後には収集不可能になります。物理的な空間と違い、精神は目に見えないので散らかり具合を事前に察知するのは難しい。よって日々の整理整頓が重要になってきます。
精神の整理整頓は言語によって「考える」ことでなされます。さらに言語でカバーできない無意識の領域は、芸術などの自己表現によって把握されます。この思考と自己表現によって精神は整理されエントロピーを低く保つことが出来る。これらを怠ると精神は徐々に無秩序へと向かうことになる。言語による思考と、芸術による自己表現によって、心のエントロピーは低く保たれ、未来の精神的破堤(カオス)は回避されるのです。
AUTOPOIESIS 167/ illustration and text by : Yasunori Koga
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