『創造性の育成』

古賀ヤスノリ イラスト こがやすのり

 画一化と大量生産によって成り立っていたこれまでの資本主義社会と企業が、創造性や多様性を重視する人材育成にシフトしはじめました。これまでの成果主義による機械仕掛けのシステムと、そこに関わる人々の心の問題が露呈したからです。人間は有機的な存在であり機械になろうとすると破堤します。またシステム自体も有機的な構造が維持できないと破堤する。いまあらゆる分野にこの問題が現れ、その場をしのぐための応急処置が施されています。
 機械じかけの生産性に対して創造性とは真の生産を意味します。機械的な生産は、既にあるものを量産することです。模倣やコピー的な生産。それに対する創造的な生産は、まだ存在しないもを生み出す、オリジナルに関わる生産です。これは人間の自我から自然に生まれてくるものであり、既知の情報を集めて操作的につくるだけでは追いつかない次元の生産です。
 このような特殊性にみちた創造性を、情報を元にした機械仕かけのシステムで育てようとしても上手くいきません。無機的なもので有機物が育たないことと同じです。創造性は創造性によって育まれる。これまでの画一化と大量生産の価値観は、多様性と創造性の社会とは相性がよくありません。これは明白です。むしろこれまで社会が無駄だとして切り捨ててきた所にこそ、創造性を育む宝が眠っている。そしてそれは個人でも同じことであり、その宝を自分の中から掘り起こす作業が必要なのです。

AUTOPOIESIS 179/ illustration and text by : Yasunori Koga
こがやすのり サイト→『Green Identity』

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