『個性と運命』④

 自分自身の外へ出るためには未来に対する好奇心が必要である。過去にこだわりすぎると、未来へ好奇心を抱く機会が失われてしまう。これはつまり自分の中に入り込むことと、過去に固執することは関係があるということです。さらに言えば自分に閉じこもるということは「過去の自分」に閉じこもるということでもあります。
 自分から脱出し外から自分の個性を眺めるには、過去ではなく「未来の自分」に開かれている必要があります。はじめて地球の外へ出ようとした人たちは、宇宙への恐れよりも好奇心のほうが勝っていた。極端に言えば「どうなってもいいから外へ出てみたい」と思った。これは過去に固執して過度に防衛することとは真逆の心理です。外部への第一歩はつねに損得を超越した「好奇心」としか呼べないものが大きな原動力となります。
 未来を考える時、そこに過去はありません。同時には考えられない。未来への好奇心へ向かうときは過去を捨てている。燃料を燃やして進むように、過去を切り捨てて(あるいは受け入れて)未来へと進む。つまり自分自身の外へ外へと進むことと、過去に分かれを告げて未来へ踏み出すことは重なっているということです。自分という殻から脱出するためには「過去への固執」を振り切り、「未来への好奇心」が発動する内的環境を整える必要があるのです。

AUTOPOIESIS 218/ illustration and text by : Yasunori Koga
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