自分を外から見ることで、自分の個性が初めてわかる。よって自分を外から見ている他人の意見は貴重である。この視点を持てば、自分自身の外へ自分が出ていくことが大事だということが分かります。自分自身から脱出することで、やっと自分を外から眺めることが出来るようになる。このイメージを持つと、自分の内側での自分本位が、それほど自由ではなかったことが分かります。むしろ自分という枠の中の不自由な存在であったと。
深層心理学において「自我」と呼ばれるものは、自分自身が「これが自分だ」と意識できる領域を指す言葉です。しかし人間には無意識の領域もあり、そこを意識化して自我を広げていかないと自分は見えてこない。もし自我の領域が狭いままだと不安定になり、つねに防衛しなければならなくなります。もちろんその中に入っていると、外からは自分が見えなくなってしまう。閉じてしまうと外部というものが完全になくなるからです。
自我という自分から脱出し、外から本当の自分の全体を眺める。これは地面の上を歩いていた状態を終わらせ、地球を宇宙から眺めた状態と似ています。地球からロケットで宇宙へ出てみた時に、初めて本当の地球の姿が分かった。これは外敵を恐れ内部に閉じこもって防衛していては知りえなかったことです。よって外部へ出るためには「保守心を好奇心へ変える」必要があります。つまり自分自身から脱出するためには「未来に対する好奇心」が必要なのです。
AUTOPOIESIS 217/ illustration and text by : Yasunori Koga
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