人間は比べることなしに物事を認識することはできません。例えばイエローという色は、他の色との比較によって初めてどのような色であるかが分かります。もし、全てがイエローの世界に生まれてきたら、それがどのような色かを真に知ることはできません。
物事を認識する前提には比較がある。大きさ、温度、味、すべてが比較によって立ちあらわれる。よって比べることは悪いことではありません。問題は比較の結果を悲観することです。例えば「周りの家より自分の家は小さい」といって嘆く。これはちょっと問題です。
周りの家と比較して、自分の家は小さかった。これは客観的な認識です。大きさの比較をした。そして家の価値を大きさだけで判断して嘆く。これが問題でしょう。そもそも、より大きい、より多い、といった価値判断は原始的なものであり、より文化的に高度な価値になればなるほど、数量化できない価値が優勢となります。比較による認識と、対象の価値判断はしっかりと区別すると、お家が小さくても嘆くことは無いのです。
AUTOPOIESIS 0045/ illustration and text by : Yasunori Koga
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