『尊厳と文化』

  他人を尊重する。当然のことであるけれども、これはまず自分が自分自身を尊重できていなければできない。なぜなら人は自分にしていることしか他人に出来ないからである。その意味で自己は他者であり、他者は自己である。自分を尊重するとは、自分の欲を尊重することなどではない。その逆に自分の低レベルな欲望に支配されずに、自分の尊厳を守れるような判断をするということだろう。そのことによって自分は結果として尊重されていく。原始的な欲動からの解放が、自他の尊厳を守る方法であるのならば、フロイトが定義した「文化の獲得」と完全に一致する。つまり、他人を尊重することで自他の尊厳が守られ、そこに文化が発生する。その代償は欲望の放棄である。「経済が低レベルな欲求を刺激することで利益を得ているいう構造」、それが文化の発展を妨げている。この説は、「文化=欲望放棄」の視点で見ると的を得た指摘だと考えられる。‟消費は未開の儀式だ”とレヴィ=ストロースあたりが言っているのかもしれないが、私はそれを知らない。逆に、自他を尊重し人々の尊厳が守らる社会では、消費は下降すると考えられる。よって現代社会は尊厳を・・。さあ考え出すときりがないで、このあたりでやめにしよう。
 

AUTOPOIESIS 0006./ illustration and text by :Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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