主人公フィツカラルドは、アマゾンの奥地にオペラハウスを建設するという夢を持っていた。 しかしそれは莫大な費用がかかる夢であり、常識を超えた発想であった。 彼は資金を捻出するため、とてつもない計画を立てそれを実行しようとする。
信念をもって夢を追うその姿は、妄想に取りつかれた狂人のようでもある。 しかしその夢が実現した瞬間、人々はそれを理解するのだ。 クラウス・キンスキーの鬼気迫る演技。そして生の映像にこだわるベルナ―・ヘルッオークの執念。 二人が作り出した傑作『アギーレ/神の怒り』に勝るとも劣らない、渾身の一撃。このような映画は今後、二度と撮られないだろう。
vol. 027 「フィツカラルド」 1982年 西ドイツ 157分 監督ベルナ―・ヘルッオーク
illustration and text by : Yasunori Koga