「遊びと芸術は生命力の余剰から生まれる」
(ロジェ・カイヨワ)
ホイジンガの「ホモ・ルーデンス」を着想に生まれた一冊。フランスの天才的評論家ロジェ・カイヨワによる「遊び」の徹底分析は、臨床心理学の分野にも活かされるほどの実践的な内容。遊びを「競争」「運」「模倣」「めまい」の四つに分類する。さらに「模倣」と「めまい」の結合が人間を原始的な状態にとどめ、その世界を断ち切り「競争」(才能)と「運」(挑戦)の結合世界を作ることが文明への道だとする。原始的な「模倣」と「めまい」が“仮面”によって結合するというくだりは、統合失調化する現代を一言で表している。決してホイジンガの「模倣」ではない、まさに文化遺産的な一冊。
book / 026『遊びと人間』ロジェ・カイヨワ: Originally published in 1958
illustration and text by : Yasunori Koga