数学の公式というものがあります。それを丸暗記していて問題をすらすらと解く。これはよくあることです。しかしその公式がどのように出来たのかが分からないままになる。これは知識や考え方についても言えます。誰かの考え方が教科書やサイトにまとめられていて、それをそのままインプットして知識として持つ。しかし、その考えがどのようなプロセスで作られたり発見されたのかが分からないままになる。そうなると自分自身で必要なときに「新しい考え方」を作ることが出来なくなります。
これは絵を描くときにも言えることです。誰かが技法を作り出して一般化している。それが本やサイトに掲載されていて、みなその通りに描いて同じ絵ができる。それ自体は凄いことです。しかし、そればかりでは「自分の絵」というには少し物足りない。人の技法を真似るばかりでは、いつまでたっても「自分の技法」を創り出すことが出来ません。出来上がったものを真似る事と、自分自身でつくり出す事の間には大きな開きがあります。
公式の丸写しではなく「新しい公式」を自分自身で作っていく。不確定要素の高い時代、これから必要となる「新しい公式」を創る能力が、個々に求められるのは明らかです。当然それは「より高い次元」を求められているということです。この事実は「必要は発明の母」という言葉と一致しています。その意味ではあらゆるジャンルの公式が、時代の転換点に差し掛かり、一つの終焉を迎えているのかもしません。
AUTOPOIESIS 133/ illustration and text by : Yasunori Koga
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