『本音を表現する』

古賀ヤスノリ イラスト こがやすのり
 人生にはいろんなことがありますが、最終的には自分自身の「納得」をどうつくるかの一点にかかってきます。いくら成功しても、それが自分がやりたい事ではなく、例えば親や社会からやらされたことであれば本音としては納得できないでしょう。しかし現代人は自分以外のことに従い、それをやりたい事だと思い込み、終着点にきて違うことに失望するというパターンがあります。自分が好きなことが分からない、という状態です。
 本当の意味で自分を理解していないと「自分が好きなもの」が見えてこない。自分のことをこれが自分だと思っていても、無意識の自分までは分からない。多くの場合、その無意識に自分の大事な要素があり、それを無視していることで問題が発生してきます。その意味では意識できない無意識の中に本当の自分や、やりたい事が隠れている。
 例えば絵を描いていて、たまたま好きな絵ができるときがあります。意識的な計画をゆるめて、何となく感覚で描くほうが、無意識を含めた自分の全体が出やすい。そこに知らなかった自分と「自分が好きなもの」があります。そしてそれは「納得」を作り出す大事な要素です。このように、体裁ではなく本当の意味で「自分が好きなもの」を描けるようになる能力は、結局は自分自身を理解し、自分の人生で納得を作る能力と重なります。納得は体裁ではなく「本音を表現する能力」によって作られるのです。

AUTOPOIESIS 136/ illustration and text by : Yasunori Koga
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