失敗を積み重ねることによって成功に到達する。これはいわゆる「失敗は成功のもと」ということです。別の表現を使えば「失敗は成功の構成要素」だといえるでしょう。成功は失敗を含み持つことで成立している。逆にいえば、失敗のない成功はありえない。
そもそも失敗という概念は成功という概念に支えられたものです。成功のない世界には失敗もないし、また失敗のない世界には成功もない。いつ何をやっても成功しかしないのなら、成功に意味も実感も発生しないでしょう。よって失敗を受け入れずに排除すると成功もなくなってしまう。
失敗とは時間と関わりがある。つまり「取り返しがつかない」ということ。後戻りできないから失敗がある。そして成功もまた然り。後戻り出来る世界には失敗も成功もなく、あるのは暫定的で未決定なイミテーションだけです。失敗を避け、受け入れを拒めば時間は空回りする。そしてすべてが未決定なままとなる。後戻りできない世界で失敗を受け入れることで、成功が形づくられるのです。
AUTOPOIESIS 155/ illustration and text by : Yasunori Koga
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