『世界を広げる』

古賀ヤスノリ イラスト こがやすのり
 自分自身の世界観が狭すぎると、何事も決めつけが強くなってしまう。そうなると好奇心も弱くなり未来の可能性も狭まってしまいます。しかしその世界観は不自然なのですぐに現実から修正を迫られることになります。もし修正を拒み、狭い世界を無理に維持しようとすれば、敵や悪者が必要になってきます。敵の侵入や悪者の存在によって自分の世界が脅かされる、という物語で「閉じること(自己防衛)を正当化する」しかなくなるからです。
 決めつけが強すぎると好奇心が働かなくなる。すると未来の可能性は閉じられ現状維持に固執するようになります。そして狭い世界観を正当化するために敵が必要になる。いない場合は無理にでも作り出すことで物語を維持する。これは集団であっても同じです。妄想性の入り口はここで、現実からのフィールドバックを取り込み、自分の世界観を広げることでしか、その入口を閉じることはでしません。
 そもそも世界は常に変化しています。人間の細胞だって一年間で全て入れ替わる。自分を固定できているというのは錯覚で、無変化なものがあるとすればそれは情報化されたものだけです。よって情報に依存しすぎると自我が変化を許容できなくなり、過度に防衛的になる。そうならないためには、リアルな現実を自分で解釈して取り込んでいく。そして自分の世界観を常に修正して広げていく。そうすることで変化のある未来に開かれた自我が形成されるのです。

AUTOPOIESIS 161/ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリ サイト→『Green Identity』

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