『ネペンテス』

古賀ヤスノリ イラスト

 ウツボカズラ。学名はネペンテス。蔓性の植物で、葉先から蔓が伸びその先が大きな壺になる。いわゆる食虫植物です。彼らはやせて栄養が期待できない土地に生息しているため、虫を捕獲して栄養を補っています。肥沃な土地を求めて動こうとはせず、自らを罠として生きることを選んだ。一見グロテスですが、育ててみるとなかなか可愛い植物です。
 

AUTOPOIESIS 0018./ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

『コラージュの効用』

古賀ヤスノリ コラージュ

気が向けばコラージュをします。もう10年以上続けています。一つの作品を作るというのではなく、遊びのような感覚で作業を進めていきます。もともと雑誌など誰かが完成させたものを切り裂くのですから、決まりからの解放という感じもします。よって真面目すぎたり、失敗を恐れて本番へ進めない時など、気持ちを解きほぐす時にも役に立ちます。そもそもコラージュに決まりなどないのですから。普段の生活だって本当はそうかもしれませんね。
 
AUTOPOIESIS 0017./ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

『ネコのはなし』

古賀ヤスノリ イラスト むかし飼っていたネコは、知らない人が来るとすぐに怒っていた。気に入らないのか不安なのか理由はよくわからない。怒ったって仕方がないのに怒る。怒らないネコもいるので、それが個性というものであったか。おとなしくとも無反応なら、個性としては記憶に残りにくいかもしれない。やはり何かしらの「個性の表現」があって初めて人の記憶に残る。これはネコだけの話ではないなとおもう。
 

AUTOPOIESIS 0016./ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

『価値の急降下』

古賀ヤスノリ イラスト

 長年追い求め労力も費やしてきた事柄が、ある日色あせて何の価値も感じなくなる。このようなことが往々にして起こります。なぜこういった価値の急下落が起こるのでしょうか。そもそも熱っぽく何かを求める対象は、「心の穴を埋める」ような要素である事が多い。心の不足を補うような対象であるがゆえに、熱心にそれを追い求める。しかし不足を自分自身で(たとえば精神的な成熟によって)解消してしまうと、追い求めていた対象の価値が急下落する。このパターンはかなりあると思われます。もう一つのパターンは、社会の変容によってその価値が下落するというものです。これはそもそも相対価値を基準として追いかけるので、周囲の関係によって価値が変動せざるを得なくなります。こちらの方は永遠に価値の変動と追跡を繰り返すので、満足に行き着くことがありません。前者の場合の価値下落は、その時の寂しさはあるけれど、結果的には良い下落だと思われます。そもそも価値というものは、対象自体にあるのではなく、人間側の心の変容にある。だからこそ、お金や数字で一般化されたものでさえ、価値が下落してしまうのでしょう。

 

AUTOPOIESIS 0015./ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

『こどもへの抑圧』

 日本の児童、生徒の自殺者が過去最高になったとイギリスのBBCが報じています。日本はここ数年自殺者は減少しているが、それに対して子供の自殺者は増加しているといいます。この事態をどう考えればよいのでしょうか。統計では、いじめや家族の問題よりも「進路問題」が自殺の原因のトップだったそうです。つまり社会的な抑圧が原因で、子供たちが自殺へ追い込まれているということです。自殺者の数を減らそうと対策を打つ。その影響で大人の自殺者だけが減り、子どもの自殺者が増えた。つまり「大人を助ける制度」が結果的に子どもを苦しめている。ちょっと考えただけでも「大人の安定=保守化」に社会を傾けることで、未来に可能性がある子供たちには抑圧となります。不必要な補助は人をダメにするというテーゼ。自殺を考える人に対する補助と、未来の可能性を消し去る補助の区別がここでは問題となります。たとえ意図せずとも、大人のために「子供に必要なもの」を取り上げる制作になっているとすれば、それは「超自我の強い日本列島」(親優位社会)の発想そのものだと言えます。大人が真に自分の腹を裂くことでしか、この問題は解決して行かない。こどもは親や大人の所有物ではないのですから。
 

AUTOPOIESIS 0014./ illustration and text by : Yasunori Koga
古賀ヤスノリのHP→『Green Identity』

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