『遊びと人間』

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「遊びと芸術は生命力の余剰から生まれる」
(ロジェ・カイヨワ)

 ホイジンガの「ホモ・ルーデンス」を着想に生まれた一冊。フランスの天才的評論家ロジェ・カイヨワによる「遊び」の徹底分析は、臨床心理学の分野にも活かされるほどの実践的な内容。遊びを「競争」「運」「模倣」「めまい」の四つに分類する。さらに「模倣」と「めまい」の結合が人間を原始的な状態にとどめ、その世界を断ち切り「競争」(才能)と「運」(挑戦)の結合世界を作ることが文明への道だとする。原始的な「模倣」と「めまい」が“仮面”によって結合するというくだりは、統合失調化する現代を一言で表している。決してホイジンガの「模倣」ではない、まさに文化遺産的な一冊。

book / 026『遊びと人間』ロジェ・カイヨワ: Originally published in 1958
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『isonomia』

『ホモ・ルーデンス』

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「遊びの精髄は、なんといっても規則を守ることである」
(ヨハン・ホイジンガ)

 この本は「遊びは文化よりも古い」という書き出しではじまる。「遊び」を歴史的、文化人類学的な視点から考察した内容は、この本から派生したフランスの『遊びと人間』(ロジェ・カイヨワ)より断然“面白い”。遊びはイメージを心の中で操ることからはじまり、利害関係を離れた行為として発達していく。規則の発生と反復可能性は、競技や戦争、裁判などの元型として今も機能し続けているという。人間の“楽しさ”の源泉となる「遊び」の基本原理が、規則を“自発的に”受け入れることにあるとする本書は、アクチュアルな幸福論として読むことも可能な名著である。

book / 025『ホモ・ルーデンス』ヨハン・ホイジンガ: Originally published in 1938

古賀ヤスノリHP→『Green Identity』

『柔らかい個人主義の誕生』

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「一定のしなやかさを保ち、しかし、そのなかに有機的な一貫性を守ることが美徳とされる」(山崎正和)

 人間は目の前のものを早急に消費する動物段階から、消費を抑制し「貯蔵と蓄積」を目的とする生産活動(生産する自我)の段階へ。しかし貯蔵が目的化すれば際限がなくなる(現資本主義)。これに対し「消費する自我」は、消費を抑制しながらも、満足を引き伸ばしつつ楽しむ(消費する)。前者を支える自我を「固い自我」、後者を「柔らかい自我」とし、柔らかい自我による個人主義こそが、これからの時代に求められると説く。現代を予見した社会分析は鮮やかである。日本社会に適した個人主義を提案する、まさにこれからの一冊。

book / 024『柔らかい個人主義の誕生』山崎正和: Originally published in 1984
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『Green Identity』

『音楽を語る』

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「芸術家と聴衆は、たがいに接近し接触してはじめて、一体となるのです」
(ヴィルヘルム・フルトヴェングラー)

 20世紀を代表する指揮者であり、クラシック界の哲学者と言えるフルトヴェングラー。彼の貴重な音楽理論を、対談形式で読むことが出来る。リストやワーグナーの時代より始まった「効果ばかりを狙う」ことへの批判。それに対してベートーヴェンが持つ、「非作為的な効果」への賛辞。その「作為なき創造」こそが、時代を超える言語だという。規格化された技巧は、芸術が持つ有機的なつながり(感情)を切断してしまう。内面的な必然性を強調する彼は、論理的でありながらも、やはり直感の人でもある。芸術の究極的なバランスが体感できる一冊です。

book / 023『音楽を語る』ヴィルヘルム・フルトヴェングラー: Originally published in 1952
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『Greenn Identity』

『オリエント急行殺人事件』

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「あなたがどう感じ、どう思ったかをうかがいたいわけです」
(アガサ・クリスティ)

 ミステリーの名手、アガサ・クリスティの代表作。階級も国籍もさまざまな人が乗る豪華列車「オリエント急行」。その閉じられた空間で殺人事件が起こる。偶然列車に乗り合わせた名探偵ポワロは、その名高い推理力を武器に、解決不可能と思われる謎に挑む。何も考えずにひたすら没頭できる面白さ。しかし、そこには知的なセンスとヒューマニズムが散りばめられているのだ。ミステリーの古典と謳われる格調高き名作。

book / 022『オリエント急行殺人事件』アガサ・クリスティ: Originally published in 1934
illustration and text by : Yasunori Koga

古賀ヤスノリHP→『Greenn Identity』

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